日米法学会について
日米法学会(Japanese American Society for Legal Studies)は1964年9月26日に、日米両国間の法律家の協力を通じて、日米両国の法および法学に関する相互理解を深め、かつ、両国の法および法学の発展をはかることを目的に設立された。現在会員は530名(2023年12月現在)に上る。
日米法学会は、学界のみならず多くの実務界の会員の協力を得て、アメリカ法を全体として捉え、アメリカ法とアメリカの法学の日本への紹介を堅実に続けるとともに、従来組織的にはおこなわれることのほとんどなかった、アメリカへのわが国の法および法学研究の紹介を積極的に推進してきた。またアメリカの法学研究者および実務家と、日本の研究者・実務家の相互交流をはかり、相互理解の発展にも様々な形で寄与してきた。
本学会の活動は二つの柱を中心に展開されてきた。その第一は、年一回の総会および適宜開催される諸種の研究会・講演会を通して、法学の発展と研究者、実務間の知的交流をはかる活動である。総会では、毎回テーマを定め、アメリカから当該テーマに関わる一流の研究者を招聘し、日本側の研究者や実務家と合同でシンポジウムを開催し、その記録を後述する『アメリカ法』に掲載してきた。それに加えて、合衆国最高裁判所のオコナー、スカリア両裁判官を始め、アメリカの著名な法律家の講演会も開催している。
本学会の活動の第二の柱は、年2回の雑誌『アメリカ法』の刊行である。多くの学会誌が、総会での研究発表を掲載するに留まるのに対し、雑誌『アメリカ法』は、それに留まらず、アメリカ法の全体的総合的な研究誌としての機能を果たしている点に大きな特色がある。アメリカ法の各分野にわたる新しい潮流をわが国学界に伝えるため、アメリカ法プロパーの研究者のみならず、多くの実定法学者および実務界の人々を編集委員として迎え、年二回編集会議を開催し、最新の著書、論文、判例等につき紹介すべきものを選別し、それらを体系的に紹介する活動を続けている。
日米法学会の活動特色は、設立以来実務界との交流に多くの努力を傾注してきた点にある。現在実務界で活躍中の会員数は100名を超える。また、役員においても、現在の理事11名中3名が、評議員37名中10名が実務界の法律家であり、編集委員27名中にも5名のそうした委員が含まれている。日米法学会の実務界との深い交流の歴史は、この学会が、法律事務所・各種企業を中心とした維持会員制度を採用し、これまで多くの維持会員によってその活動を支えていただいてきたことにも端的に表れている。
近年誰の目にも顕著な、経済活動を初めとする様々なレベルにおけるグローバル化時代を迎え、日米法学会が今後も果たすべき社会的役割はますます増大している。